いきいき職場づくりでワーク・ライフ・バランス実現!静岡県わくわく働くナビ!

いきいき職場づくり推進

静岡県では、いきいき職場づくりを実現するため、企業見学レポートや、
ワーク・ライフ・バランス推進企業モデル化事業を実施しました。

企業見学レポート いきいき職場づくり先進企業視察研修 株式会社松岡カッター製作所

概要

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10月15日に、静岡市で切削工具の製造業を営まれている株式会社松岡カッター製作所様での視察研修を行いました。

(内容)
(1)オリエンテーション
(2)講演 
専務取締役 松岡慶子氏
(3)工場見学
(4)質疑応答

新しいチャレンジを続けて

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オリエンテーションとして、コーディネーターである中小企業診断士の富田哲弥氏から研修のポイントなどを伺いながらのスタートとなりました。

続いて松岡慶子専務取締役による講演が始まりました。松岡専務は創業者の孫で、現社長・松岡克彦氏の奥様であり、会社の経営と組織づくりに、夫婦二人三脚で取り組まれています。

同社の創業は昭和10年。木工用カッターの製造を始め、昭和19年の静岡空襲により、生産を一時中止するものの、昭和21年に生産を再開し、昭和43年に現在工場のある静岡市葵区古庄に移転します。当時、テレビやオーディオのキャビネットなどの箱物が普及した時期で、同社もそれに合わせて工場を増設していきます。

ターニングポイントになったのは、平成22年頃、静岡商工会議所の創業塾に入り、いろいろな方との交流や勉強を始めたことであったと松岡専務は振り返ります。県の経営革新計画の承認を受けたり、エコアクション21の認証・登録を行ったりする一方で、平成24年度から3年度連続で国のものづくり補助金を受けて、最先端の新しい機械を次々に導入します。

このことが、自分たちがどういうものを作っていきたいかというビジョンを持ち続けることにつながり、社員のチャレンジ、意欲にもつながっていきます。

時間単位の有給休暇、子育て支援

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同社には、時間単位で有給休暇を取得できる制度があります。松岡専務は、御自身の経験や社員の有給休暇の取得状況を見て、時間単位での有給休暇のニーズが大きいことを以前から感じていました。そこで、労働基準法が改正された際に、就業規則を見直し、時間単位での有給休暇が取得できるようにします。

制度導入後、子どもの学校行事や親の通院など、家族のための休暇のほか、自治会など、地域の仕事のために休暇が利用されることもあります。時間単位で休暇を取得できることで、社員は地域の役員も気軽に引き受けることができます。休暇制度が地域貢献にもつながっているのです。

講演には、男性社員の方も登場し、御自身の経験談を語ってくれました。お子さんが2週間ほど入院し、病院での付き添いが必要になった際に、時間単位での有給休暇を活用して午前中に休暇をとり、奥様と交代で病院へ通ったのだそうです。奥様も仕事をしているため「制度があって、とても助かった。」と当時を振り返ってくださいました。

松岡専務は、男性社員が子育てに積極的に関わることは、女性の働きやすさにもつながる、このような制度があることで、夫婦どちらかに負担を負わせるのではなく、一緒に子育てができると話してくださいました。

最近では男性社員が親の介護、病院の付き添い、介護認定の手続きやケアマネージャーさんとの話し合いのために有給休暇を取得することが増えているそうです。時間単位での有給休暇を使って、「ちょっとでも行ってきたら」と言ってあげられることは大事なことだと松岡専務は考えているそうです。

また、子育て支援の取組についてもお話しいただきました。同社では、社員の産休中、社員全員で仕事をカバーする方法をとっています。妊娠・出産を「慶事」として受け止めて皆で助け合います。仕事の省力化を進めていることもあり、何とか乗り越えてしまうそうです。

女性社員は職場復帰への思いが強く、同社では、保育園入園のための書類作成などの支援を行っています。松岡専務は、保育園の入園が決まれば、柔軟な勤務体制などによる支援ができるので、復帰時に確実に保育園に子どもを預けられるシステムが重要と語ってくださいました。

和と健康をもって

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同社の社風は「和と健康」です。コミュニケーションの「和」と伝統の「和」。

11月の鞴(ふいご)祭(金山講)※では祭壇を作って皆でお参りします。これは松岡専務が幼い頃からずっとあった行事で、今でも社員には、お料理とお酒を持ち帰らせて自宅でお祝いしてもらっているのだそうです。

また、40年近く続く伝統行事になっているのが、4月の創業記念日に行なわれる全社一斉ボーリング大会。社員の和を保つコミュニケーションの場となっています。ボーリング大会は代表選考会を兼ねていて、上位の10人は1年間、各種ボーリング大会に参加します。それが地域の企業との交流の機会にもなっているのです。

社内行事は社員皆さんの手作りで行います。例えば、入社式は準備を社員皆さんで行い、とても心温まる式になるそうです。

松岡専務は最後に、同社が地域の清掃活動にも積極的に参加していることに触れ、「私たちがここで仕事をさせていただいているうえでは当然のこと。できることから、小さなことからこつこつとやっていきたい。」と語ってくださいました。

社内見学では、社員の方に工場を案内していただきました。各製造工程について、丁寧に、熱心に説明してくださいました。その様子に職場風土の良さを感じると共に、社員の皆さんの仕事への意欲と熱意を垣間見ることができました。

※鞴(ふいご)祭は11月8日に行われる鍛冶、鋳物の商売繁盛を神に祈願することを目的とする祭事。現在では、商売繁盛のほか、併せて工場と従業員の安全衛生を祈願するようになっている。

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